★★★★
2010年に発表された1stアルバム『Stuck On Nothing』がLCDサウンドシステムのジェイムス・マーフィーによるプロデュースだったことで話題となり、同年夏のサマーソニックで来日も果たしたフリー・エナジーの2ndアルバム。
大きな変化としては、前作にあったようなグラムロック・ナンバーが消滅して70年代色が減退し、80年代色の濃いパワーポップ・ナンバーが増えていることで*1、「Backscratcher」や「Hangin」などはまるでウィータスのようだ(しかも「Hangin」は馬場ソングでもある)。ただし、ウィータスのように偏執狂的なポップ・センスではなく、もっと大陸的な(大味とも言う)アメリカン・ロック・サウンドなのがフリー・エナジーの個性であって、ポール・スプレンジャーズの歌声がトム・ペティを想起させる瞬間もしばしば。実際に彼等は (『ビートルズの遺伝子ディスク・ガイド』でも紹介した)トム・ペティの「I Won't Back Down」をカヴァーしているしね。ベン・クウェラーの3rdアルバムが好きな人にもバチグンのお勧めだ。全10曲38分。
↑ドラマーのニコラス・シュミンスキーは、映画『アンヴィル!』の元ネタである『Fubar』シリーズの主演俳優としてお馴染みのポール・スペンスに似て蝶。
*1:そういえばポール・シュプレンジャーズは大のジョン・ヒューズ好きなのだった。「Bang Pop」のPVは学園モノだし(『ロックンロール・ハイスクール』へのオマージュもあり)。