映画『かぞくのひけつ』(監督:小林聖太郎)観賞。★★★★★。
滑り込みで今年のベスト1確定! 小賢しい作家性など微塵も感じさせない、徹底的にウェルメイドな人情コメディの傑作! いやー、笑った笑った。今、渋谷でコメディ映画を観るのならば、『俺たちフィギュアスケーター』じゃなくて『かぞくのひけつ』に行ってくださいってば。絶対に損はさせないから(どうせ『俺たちフィギュアスケーター』はロングランするだろうしな)。
女性陣がやたらとバイタリティに溢れているところまで含めて、小林聖太郎は森崎東の正統な後継者といえるのではないかと思った。主人公のヘタレ少年を久野雅弘が演じていることもあって、『ごめん』のその後といった趣きもある(そういえば、どちらも「相米慎ニ絡み」の作品でもあるのだった)。
パンフレットに掲載されている小林聖太郎の発言があまりにも素晴らしかったので、以下に無断転載。
やっぱり、ちゃんとした喜劇をやりたいとは思いますね。奇妙な人が出てきて奇妙なことをやる面白さではなくて、お話を語っていく中で面白さが出てくるような喜劇。先鋭的な笑いは、それこそTVがやればいいし。笑いって喜怒哀楽の中でいちばん難しいものだと思うんですよ。共通の文化とか言語、空気がないと通用しないこともあって。例えばブラジルの人とか、あるいは西暦2100年の人が「ダウンタウンのごっつええ感じ」のシュールなコントを見ても、笑えないかもしれない。その一方で、いつの時代のどこの人でも笑えてしまう、先鋭的ではないけど人間の本性を見透かした笑いというのは、古くから途絶えることなくあって、それこそが普遍的なんじゃないかと思うんです。で、映画として表現すべき笑いってそういうものじゃないかなと思います。
映画で人生観を変えるとか大げさなことじゃなくて、見終わった後にほんわりオモロかったなと思える70分ぐらいの小品に仕上がればいいなと思ってましたね。
最高! プログラム・ピクチャー監督の鏡だ!