『Reefer Madness: The Movie Musical』
(監督:アンディ・フィックマン)
★★★★★
これ、今のところ00年代のアメリカ製実写ミュージカル映画としては最高傑作なのではないだろうか(TVムービーだけど)。カルト化したかつての啓蒙映画→ミュージカルとして舞台化→再映画化という流れからも分かるように、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』とか、まあそういう類のキッチュなコメディ・ミュージカルである。特筆すべきは、とにかく曲が良いんだわ。楽曲のキャッチーさという意味では『サウスパーク/無修正映画版』に匹敵していると思う。2005年エミー賞のオリジナル歌曲賞を受賞しているのはダテじゃない。
キャストも総じて好演。狂言回しとしてアラン・カミングがTVムービー版『アニー』(『シカゴ』のロブ・マーシャルが手掛けた佳作。『シカゴ』よりも面白い)以来、久々にトニー賞受賞俳優としての実力を発揮。圧倒的な存在感を見せつけている。主演の2人(クリスチャン・キャンベルとクリステン・ベル)も大袈裟なバカ演技を楽しそうに披露していてとってもチャーミング。クリスチャン・キャンベルの妹であるネーヴ・キャンベルがカメオ出演している点にも注目だ!
ミュージカル・シークエンスの作り&カット割りも非常に本格的&良心的で、くっだらねえバカ映画に本気で取り組んでいる点に好感を抱いた。それにしても、こんなバッド・テイストな作品が普通にテレビで放映されているんだから、そりゃあジョン・ウォーターズにとって辛い時代なわけだよな。監督のアンディ・フィックマンはこの次にアマンダ・バインズ主演の学園映画『She's The Man』を撮っているので、学園映画ファンにとっても本作は必見でしょう。『ハイスクール・ミュージカル』のような出来の悪いTVミュージカルを持て囃す前に、まずはこうした傑作をきちんと評価するべき。
ちなみに、アマゾンの表記ではリージョン1となっているけど、実際にはリージョン・フリーなので日本のDVDプレイヤーで再生可能。ミュージカルだし、日本語字幕なしでも問題ないはず。
Down At The 'Ol Five And Dime
↑『Good News』へのオマージュで楽しい楽しい。