Jensen Bell/Modern Dating Tips
★★★★★
先日の『Lowe Profile』に続き、マフスのファンサイトの運営者がこんな重要作を1年近くも見逃していたとは情けないぜ。何せ本作はジン・ブロッサムズ+マフスというラインの傑作なのだから。おいらが聴かなくてどうするって話だよな。
だから、そんな作品にマフスのキム・シャタックが参加して「Happy Chocolate」をデュエット(&共作)しているのは必然以外の何物でもない。キムが歌うデュエット・ソングとしてはNOFXの「Lori Meyers」やMTXの「Don't Go Breaking My Heart」(エルトン・ジョンのカバー)などがこれまでは代表曲とされてきたが、今後は「Happy Chocolate」こそがその決定版として語り継がれるはず。いや、そうならなければいけないのだ。それぐらいの名曲。ジェンセン・ベル自身がマフスからの影響を公言している通りに、彼の書くメロディ・ラインがキムのそれに良く似ていることもあって、2人の息がぴったりと合っているんですわ。イントロでビートルズ「Taxman」を引用するという小技も利いているし、本当に素晴らしい。
その他にも、マフスの元ドラマーであるジム・ラスペサが参加していたり(キムとの繋がりは彼が仲介役となって生まれたのであろう)、「The Bitter Suite」と題されたメドレーがあったり(「sweet」と「suite(組曲)」を組み合わせるセンスはズーイー・デシャネルが映画『Winter Passing』でやっていたことと全く同じじゃねえか)と、イチイチおいらのツボを突いてきて堪らないったら。パンク以降の王道アメリカン・ロックな力強い演奏と、英国ロック的なひねくれポップ・メロディ(「Beauty Secrets」はまるでXTCのようだ)の組み合わせが爽快な全13曲35分。こういう傑作が日本だとアマゾンでもタワレコでもHMVでも取り扱われていないってのは大問題だよ(そういう意味でiTunes Storeはやはり偉い)。必聴。