★★★★
デンジャー・マウス(ビートルズの『White Album』とジェイZの『The Black Album』をマッシュアップして『The Grey Album』を作った人ね)とシー・ローによるユニットの1stアルバム。おそらくは2006年で最も売れたポップ・アルバムになるであろう話題作だ。
それにしても複雑な気分だなあ。いや、シー・ローが初めてその実力に見合うセールスを上げたことについては素直に喜びたいんだが、前2作のソロ・アルバム(特に1stの『Cee-lo Green And His Perfect Imperfections』)に比べると、明らかに薄味で聴き応えがなくなってしまっているんだな。要するにギャング・スターに対してのジャズマタズとか、40〜50年代のハリウッド・ミュージカルに対しての『ウエスト・サイド物語』とか、自分で監督しなくなってからのバスター・キートン映画とか、そういう類のものなのである。
クレジットから推測するに、音作りにもシー・ロー本人が積極的に関わっていた前2作と違って、本作ではあくまでもラッパー/シンガーに専念したということなのだろう。ま、だからつまらないわけだ。個人的には本作よりも、今年初頭にリリースが予定されていたジャジー・フェイとの共演アルバム『Happy Hour』の方が聴きたいんだが。全14曲37分。