Helen Love/ The Bubblegum Killers E.P.
★★★★
なんと約3年振りの公式発売音源となる、ヘレン・ラヴの新作EP。
相変わらず本作でもブランクを全く感じさせない、機械仕掛けのラモーンズ・パンクを奏でております。っていうか極論すれば、この人達は1993年にシングル「Formula One Racing Girls」でデビューしてから現在に至るまで、やっている事はこれっぽちも変わっちゃいないんだけどな。「変化」と言える変化が少しでもあるとすれば、アルバム『Love And Glitter, Hot Days And Muzik』を経て、(新しいドラム・マシーンを購入でもしたのか)サウンドが幾分かダンス・ミュージック寄りになった事ぐらいだろうか。本作が全6曲18分と、以前の彼等と比べると1曲あたりの時間が長くなっているのはそのため。
冒頭を飾る「Debbie Loves Joey」は昨年夏に公式サイトで配布されていた事でお馴染みの名曲。タイトルからも分かるように、N.Y.パンクへの憧れを描いた歌詞が素晴らしい。彼女達はいつだって、スウォンジー・ベイの片隅でシコシコと宅録を続けながらニューヨークを夢見て、「ここではないどこかへ」という感情を歌ってきた。まるでかつてのレイ・デイヴィスが、マスウェル・ヒルに住みながらアメリカは西ヴァージニアのブラック・ヒルを夢見ていた様に。この曲を聴けば、彼女達のそんな感情が10年以上前とこれっぽちも変わっちゃいないのが分かるはず。
新メンバーであるコリン・ラヴにボーカルを任せた曲が2曲もあったりと、彼女達にしては新機軸な部分もあり。そして何よりも驚かされたのが、名曲「Girl About Town」サーガの9年振りとなる続編「(The Continuing Adventures Of) The Girl About Town」が登場した事だ!
あと、よく彼女達の事を「キュート!」とか評する人がいるけど、実際のヘレン・ラヴって単なるデブのオバハンだぞ。まあ、そこがいいんだけどね。
- ヘレン・ラヴについては以前にも『Radio Hits 3』を「今月のマスターピース」として推したりもしているので、そっちの感想文もよろしければ読んでみるよろし。「Long Live The UK Music Scene」も試聴できるよ。