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昨年のガッカリ大賞がR.E.M.だとするなら、今年はティーンエイジ・ファンクラブで決定だな。プロデューサーとしてジョン・マッケンタイアを召喚、という事前情報からして嫌な予感がしていたんだが、どうやら見事に的中してしまったようだ。
そもそも、『Grand Prix』と『Songs From Northern Britain』が大傑作だったのは、「ギターのコード・ストロークの気持ち良さ」を前面に押し出す事によって、彼等の弱点であるボーカルの弱さをカバーしていたからなのだ。今作ではそうした基本を押さえずにチマチマした音響実験を繰り返しているので面白くもなんともない。印象に残るのは、メンバーの中で最も歌唱力のあるノーマンの曲ばかりで、ジェリーとレイモンドの曲ではひたすらに彼等の線の細さばかりが露呈する結果となってしまっている。
昨年発売されたアルバムの中で、おいらが「ギターのコード・ストロークの気持ち良さ」がうまく出ていると思うのは、メアリー・ルー・ロードの『Baby Blue』とマフスの『Really Really Happy』なんだが、それらと本作を比べると、TFCはミクロな視点とマクロな視点のバランスの取り方が悪いような印象を受ける。もっとサウンド全体でざっくりとリズムを刻むようにするべきだと思うのだ。あと、ドラムを録る時はマイクをもう少し近づけようぜ。
とりあえず、(『Grand Prix』の立役者であった)デヴィッド・ビアンコとフランク・ブラックはいっぺん彼等をシメるべきだと思うね。全12曲42分。