Guided By Voices/Half Smiles Of The Decomposed
★★★★
ガイデッド・バイ・ヴォイシズのラスト・アルバム。そんな作品にこんなタイトルを付けちゃうって所に彼等の反骨精神がよく表れていますな。
おいらは彼等の全てのアルバムを聴いているほどのファンではないんだが、本作で初めてGBVに対して「停滞」という印象を受けた。いや、相変わらず楽曲の完成度は抜群に高いし(「Girls Of Wild Strawberries」は名曲!)、ザ・フーが酔い潰れたかのようなやさぐれたサウンドとのバランスもほとんど伝統芸の域まで達しているとは思うんだが、そのバランスが完璧すぎて、「この先の風景」が見えてこないのだな。全14曲42分と、彼等にしては1曲あたりの時間が長いというのもその一因だろう。
曲を書きまくり、作品を発表しまくる事によって、常に刹那の輝きを追求してきたロバート・ポラードからすると、やはりこのスピード感の低下には耐えられないものがあったのではないだろうか。解散を決断したのもやむなしかな、と思える。
ブックレット内の←このコラージュは、「おれはバンドを解散させてでも先に進むぜ」というロバート・ポラードの強い意志を表しているかのようだ。
GBV史上最もバランスのとれているアルバムだとは思うし、オリジナル・アルバムへの入門盤としても最適だとは思うんだが、彼等の最大の特徴である「過剰さ」が欠けているという不思議な作品。おいらの中ではジェイZの『The Black Album』に近い位置付け。