『ディナー・イン・アメリカ』を手掛けたアダム・レーマイヤーの新作『Snack Shack』は、1991年のネブラスカを舞台にした『うわさのズッコケ株式会社』+『プールサイド・デイズ』+『スーパーバッド 童貞ウォーズ』といった感じの青春コメディなんだが、『ディナー・イン・アメリカ』で感じられたパワーポップ観の歪み(妙に湿っぽい)が本作の後半の展開のダメさの要因として顕著に表れてしまっていると思う。エンディング曲として使われているリンプスの「Someone I Can Talk To」はど真ん中のパワーポップなんだけどね。EMFの「Unbelievable」のような同時代のヒット曲がフィーチャーされているのは嬉しい。
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来週の来日公演も楽しみなアンダースコアーズの「Spoiled little brat」をパクった水曜日のカンパネラの「鍋奉行」にあんまり納得がいかないのは、原曲のロック的な強引さ(アンダースコアーズことエイプリル・ハーパー・グレイはブルース・スプリングスティーンやジャック・ホワイトのファンでもある)を取り払って小綺麗にまとめてしまっているからだと思う。洗練というよりは悪い意味での「歌謡曲化」を感じるというか。聴きやすくなっているから、これが受けるのは分かるんだが。来日公演のチケットがやたらと売れているのは水曜日のカンパネラ効果もあったりするんだろうか。
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テイク・ザットの来日公演に併せてソフィー・エリス・ベクスターの来日公演を実現させるのが難しいとしても、テイク・ザットの楽曲が全編に盛り込まれたジュークボックス・ミュージカル映画『Greatest Days』の日本公開/配信は実現してほしい! 監督は『ビルド・ア・ガール』のコーキー・ギェドロイツ、脚本は『カレンダー・ガールズ』『キンキーブーツ』などを手掛けたティム・ファースなので、それなりにクオリティは保証されているとも思うし。
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ちなみにテイク・ザットが来日公演の直前におこなうオーストラリア/ニュージーランド公演では、映画『ソルトバーン』の影響で「Murder On The Dancefloor」がリバイバルヒットしたソフィー・エリス・ベクスターがフロントアクトを務める予定なんすよね。彼女もわざわざ英国から来豪するわけだし、こちらの来日公演もどうにか実現してくれー。