Sophie Ellis-Bextor/Make A Scene
★★★
ベスト盤用の新曲レコーディングだったはずが、興が乗ってきたのでフル・アルバムのレコーディングに変更されたという話だったものの、その後は延期に次ぐ延期を繰り返し、何だかんだで4年もかかってしまったソフィー・エリス・ベクスターの4thアルバム。このままお蔵入りしてしまうのではないかという懸念もあっただけに、とりあえずはリリースされて良かった良かった。
個人的に何よりも特筆すべき点は、ロイシン・マーフィーの傑作『Overpowered』から惜しくも収録漏れになっていた、ロイシン×カルヴィン・ハリス×キャシー・デニスという最強の3名によるコラボレーション・ナンバー「Off & On」が本作のおかげでようやく陽の目を見たということ。とはいえ、同曲がソフィー・エリス・ベクスターに提供されたというニュースにしたって4年前から伝わってきていたわけで、ここに至るまでにどれだけ待たされたかって話だぜ。
その他のソングライター/プロデューサー陣もメトロノミー、グレッグ・カースティン、リチャードXといった錚々たる面子ばかりで、個々の楽曲の完成度はさすがに高い。だがしかし、アルバム全体を通して聴いているとどうにも散漫な印象が否めないんだよなあ。オープニング曲の「Revolution」からして、歌詞に自身のヒット曲のタイトルである「Murder on the dancefloor」なんてフレーズが登場することからも、(ベスト盤からの流れで)自身のキャリアを総括するようなアルバムを作ろうとしていたことは容易に想像がつくんだが、けっきょくアルバムを強力に推進していくような決定的な楽曲を作り出せなかったということなんだと思う。長きに渡る延期の真相もその辺りにある気がするぞ。「Off & On」にしたってロイシンのお下がりなわけだしね。全14曲50分。
↑ソフィー・エリス・ベクスター版「Off & On」。
↑こちらは公式発売されずに終わったロイシンのヴァージョン。