ついにリリースされた『Wheatus 2020』はウィータスの2000年発表の名盤1stアルバム『Wheatus』の再録作品。つまりはウィータスによる「Taylor's Version」ってわけだ。2006年以降のウィータスはエレクトリック・アップライト・ベースを弾くマシュー・ミリガンの存在が大きくなっているので、基本的には元作品のアレンジを踏襲しつつ、彼のベース・サウンドを活かすような重心の低いサウンドへとマイナー・チェンジが図られている。あと、「A Little Respect」はイレイジャーのカヴァーだったので当時のシングルB面曲だった「Pretty Girl」に、「Punk Ass Bitch」は1stアルバム時のみのメンバーだったリッチ・リーゲイの楽曲なので、これも当時のB面曲「I'd Never Write a Song About You」に差し替えに。さらにはこの時期に書かれていたという10曲の新録未発表曲(テイラー・スウィフト的に言えば「From The Vault」)を追加してのデラックス仕様だ。00年代以降のパワー・ポップの一つの雛形となった作品なので、どんな形であれ本作の輝きは永遠。名曲「Teenage Dirtbag」は後にSZAもカヴァー。そして、ここからウィータス自身の最高傑作『Hand Over Your Loved Ones』(2003年)へと続いていくのだった。