★★★
2014年に来日するとかしないとかいう話もあるウィータス。もともとは8部作になる予定だった『Pop, Songs & Death』シリーズは(あまりにも時間がかかりすぎるためか)途中でお休みして、今回は別枠のフルアルバムをリリース。伝え聞く情報では初期2枚のアルバムに近い作風になっているという噂もあったものの、実際のところは(『Pop, Songs & Death』シリーズへの足掛かりとなった)3rdアルバム『Too Soon Monsoon』の延長線上にある作風で*1、『Pop, Songs & Death』シリーズで確立した、DSD録音の特性を活かした濃度がやたらと濃いサウンドプロダクションを(『Pop, Songs & Death』シリーズのような長尺ナンバーではなく)4分前後のポップ・ソングのフォーマットに落とし込んだ内容となっている。
最近ワン・ダイレクションがウィータスの代表曲である「Teenage Dirtbag」をカヴァーして改めて彼等に脚光があたっていただけに、このタイミングで『Hand Over Your Loved Ones』のような超ド級のポップ作をリリースして欲しかったという思いもあるんだが、あくまでも自分達にとってリアリティのある地に足のついたアルバムを出してくるところがブレンダン・ブラウンという人の誠実さ。とはいえ、『Too Soon Monsoon』における「BMX Bandits」や、『Pop, Songs & Death: Vol. 2 - The Jupiter EP』における「So Old 'n' Told」のような、ブレンダンのソングライターとしての強烈な閃きを感じさせるナンバーがないのはちょっと残念。フィル・ジムネズやエリザベス・ブラウンといった、かつてのバンドメイトたちが本作に協力しているのは何とも嬉しいっすね。全10曲45分。
*1:「Holiday」に「Monsoon rains down〜♪」なんて一節があるのはその証左といえる。