Apple TV内のSTARZPLAYで配信中のTVシリーズ『ふつうの人々』で重要なのは半数のエピソードを『FRANK -フランク-』『ルーム』のレニー・エイブラハムソンが監督していること、ではなくて、残りの半数のエピソードを英国青春ゲイ映画の金字塔『とても素敵なこと -初恋のフェアリーテール-』を手掛けたヘティ・マクドナルドが監督していることだと思う。
『ふつうの人々』は主人公2人が周囲の人間から隠れて肉体関係を持ち続ける話だが、『とても素敵なこと』はサッカー・チームというホモソーシャルな世界で生きている主人公2人がゲイであることを周囲から隠しながら肉体関係を持ち続ける話なので両者には通じるものがある。どちらも「本当の自分」を隠しながら生きている者達の物語として。そして、『とても素敵なこと』からの青春ゲイ映画繋がりで『Dating Amber』に主演していたフィオン・オシェイが『ふつうの人々』にも出演していると考えると非常に納得できる。
ちなみに『とても素敵なこと』はママ・キャス(およびママス&パパス)の楽曲が大フィーチャーされていて音楽も超最高です。『ロケットマン』でもエルトン・ジョンがママ・キャスの自宅を訪問するシーンが印象的だったが、このことからも分かるように彼女は はみ出し者達を受け入れてくれるアイコニックな存在なのであります。そんな彼女の楽曲を全編に配している『とても素敵なこと』の優しさ。
自分にしか作れない音楽を作らなきゃ
歌うの あなただけの特別な歌を
自分だけにしか作れない音楽を
たとえ誰も一緒に歌ってくれなかったとしても
「Make Your Own Kind Of Music」