「アイルランド映画が描く『真摯な痛み』」で上映される『グッド・ヴァイブレーションズ』は、北アイルランドのパンク・シーンを捉えたドキュメンタリー映画『シェルショック・ロック』(と『セルフコンシャス・オーバー・ユー』)が下敷きになっているので、そちらの方もチェックよろしくです(『シェルショック・ロック』のDVDに両作品収録されております)。
これを観ると、テリー・フーリーという人は本当に心の底から音楽が好きなんだなあということが分かってとても楽しい。何かを本気で好きになるってのはまさにこういうことだ。
『シェルショック・ロック』の素晴らしさは、ただ単にいい音楽を紹介しているだけでなく、アルスター・パンクを捉えている点だ。そこでは、あたかも熱狂的なギャンブラーのような我々が、自分たちにとってパンクとは何か、そしてパンクがいかに自分たちの人生に影響を与え、変えて行き、席巻していったかを探っているシーンを捉えている。確かにどこに行ってもパンクは商業的駆け引き以上のモノを証明してきたかもしれない、しかしここには、階級や宗教によって区分された人々が、地元の誇りと自覚を形成し、仲間たちを刺激し、自分を見つめ、街に出て、自分たちがやりたいことに取り組む姿を描いている。『シェルショック・ロック』は他のパンク映画と違って、清々しいほどの前向きなメッセージを持っているのだ。
↑『グッド・ヴァイブレーションズ』にも登場するルーディのブライアン・ヤングによる『シェルショック・ロック』への推薦コメント。