映画『シェルショック・ロック』(監督:ジョン・T・デイヴィス)観賞@N. アイルランド・フィルム・フェスティバル。★★★★。
先月でも少し紹介した、1970年代末の北アイルランドのパンク・シーンを捉えた音楽ドキュメンタリー。これまで一切ソフト化されたことのない(はずの)、まさに幻の作品なので、これが日本語字幕付きで観れるってのは超貴重。
『シェルショック・ロック』の素晴らしさは、ただ単にいい音楽を紹介しているだけでなく、アルスター・パンクを捉えている点だ。そこでは、あたかも熱狂的なギャンブラーのような我々が、自分たちにとってパンクとは何か、そしてパンクがいかに自分たちの人生に影響を与え、変えて行き、席巻していったかを探っているシーンを捉えている。確かにどこに行ってもパンクは商業的駆け引き以上のモノを証明してきたかもしれない、しかしここには、階級や宗教によって区分された人々が、地元の誇りと自覚を形成し、仲間たちを刺激し、自分を見つめ、街に出て、自分たちがやりたいことに取り組む姿を描いている。『シェルショック・ロック』は他のパンク映画と違って、清々しいほどの前向きなメッセージを持っているのだ。
ルーディのブライアン・ヤングによる↑の記事が本作の魅力を的確に表している。つまり、彼等はパンクに出会ったことによって、パンク・ロックを演奏することによって、自分達を苦しめ続けてきた北アイルランドの政治的/宗教的な抑圧から生まれて初めて自由になることができたんだよね。本編最後に演奏されるアンダートーンズの「Here Comes The Summer」がどこまでも感動的に響き渡るのはそれ故だ。東京近郊に住むパンク好きを名乗る人々は、この曲の為だけにでも2月14日の上映に大挙して駆けつけるべき、と思うんだがどうでしょう。それにしてもアンダートーンズのヴォーカルのフィアガル・シャーキーは、いつ見ても宮尾すすむにしか見えない。
STIFF LITTLE FINGERS - Alternative Ulster (Shellshock Rock)
THE UNDERTONES - Here comes the summer