バーズの1stアルバム『Mr. Tambourine Man』のオリジナル盤LPに書かれている英文ライナーノーツはポップ・ミュージックを聴いていく上での最大の心得が書かれているので絶対に読んだ方がいい(もちろん、現在売られているCDを買っても読むことができる)。
音楽の趣向の変化についてのジム(=ロジャー・マッギン)の弁はこうなんだ。「違いは、僕達の時代の機械音にあると思うよ。1940年代の飛行機の音はrrrrrroooooaaaaaaaahhhhhってな感じだった。で、シナトラや他の人々は、そういった感じの、そういった種類の響きでもって、歌ってたわけさ。今僕らが聞いているのは、krrrriiiiisssssshhhhhhhhhっていうジェット音で、だからバンド少年達はその大音響の中で、大声張り上げて歌ってるんだ。それぞれの時代の機械音ってやつさ。機械音が違うから、音楽も違う」
だから機械音だとか街の喧騒に耳を傾け続けていれば、今の時代の音楽が分からなくなることはない。逆に言えば、昔の音楽を聴いて、昔の街の喧騒を想像して楽しむこともできる。このことを自分は高校生の時に『Mr. Tambourine Man』を聴き込んで学びました。
余談だけど、どうして『タイムズ・スクエア』がロック映画として最高なのかというと、全編ニューヨーク・ロケかつ当時のロックの名曲が流れまくる内容で、1980年のニューヨークの喧騒が映画にしっかりと刻み込まれているからです。