『このサイテーな世界の終わり』の原作者&監督コンビが再タッグを組んだ『ノット・オーケー』。前作と比較すると、イギリスからアメリカに舞台が舞台に移ったのと、主要キャストにジェシカ・バーデンのような特異な存在感を持った役者が不在(『このサイテーな世界の終わり』のTVシリーズ化はもともと主演のジェシカ・バーデンありきのプロジェクトであったことを思い出すべき)ということもあって、シニカルなコメディ要素は減退しており、前作ほどの化学反応は起きていないかなーと最初は思っていたんだが、第3話辺りからまた別の魅力が生まれてきて、これはこれでとても面白かった。まあ、野暮な勘繰りをしてしまうと、『このサイテーな世界の終わり』はストーリーを引き延ばせる伸びしろが少なくてシーズン2で完結してしまったので、『ノット・オーケー』は最初からシーズンの継続を念頭に置いて制作された感もあるんだが。
開始20秒で『このサイテーな世界の終わり』と同じくキンクスのあの曲が使われていて掴みはバッチリ。キンクスってバンド自体がはみ出し者にとっての究極のアイコンみたいなところがあるからな。今回は80年代の楽曲が多めに使われており、エコバニの「The Killing Moon」の大フィーチャーに象徴的なように、80年代のニュー・ウェイヴ・バンドに濃厚だった「明日死ぬかも」という感じの身を切るような痛みと不安がこの物語の根底にも流れているように思う。そういうのを描くのにシニカルではいられないってことなんだろう。