R.E.M.の『Monster』期のアウトテイクは、アルバムのブックレットでは未発表曲のタイトルが大量に記載されていたにも関わらず、ブートレッグなどでもほぼ全く流出したことがなかったので、今回の25周年記念盤でのデモ音源大量放出には大きな期待を寄せておりました! しかし、実際に聴いてみたらほとんどがインスト曲じゃねえかー。いや、R.E.M.の曲作りはピーター・バック&マイク・ミルズ&ビル・ベリーの3人がインストを作り上げてから、そこにマイケル・スタイプがヴォーカルを乗せる、というやり方なのは重々承知してますよ。でも、過去作のデラックス・エディションでのデモ音源にはヴォーカル入りの未発表曲も多かったことを考えると、その段階まで至らないものばかりだったなんて、やはりこれはバンド崩壊の序曲という風に考えざるを得ないな。
『Monster』が「ロック・アルバム」になるということは、前作『Automatic For The People』の発表当初からメンバーが公言していたことではあるんだが、曲作りの段階ではIRS時代のような軽快なロック・ナンバーも多かったのだなあというのが今回の発見。それらが全て捨て去られて、アルバムではもっとヘヴィーなナンバーが選ばれたということだったのか。あと、「Wendell Gee」の二番煎じのような(マイク・ミルズのバッキング・コーラスのみがフィーチャーされたインスト曲の)「Mike's Gtr」を聴いて、逆算的に「Wendell Gee」はマイクの持ち込んだ楽曲だということが分かったのは良かった(と思ったら、その辺の話はWikipediaに書かれてましたね)。
というわけで、デモ音源は期待はずれだった『Monster』の25周年記念盤ですが、今回のリイシューの為に制作されたアルバム本編のリミックス・ヴァージョンはかなり良い出来。当時のミックスよりもマイケル・スタイプのヴォーカルが前面に押し出されたことによって、楽曲のメロディアスな側面を強く感じられるようになった。また、ライヴではマイケル・スタイプが珍しくギターを持ってAの1コードを掻き鳴らし続けていた「I Don't Sleep, I Dream」のコーダ部分に、当時の編集では切られていた別の展開があった!ということも判明。全体の感想としては、『Monster』ってXTCの『The Big Express』のような「スタジオ・ワークで構築された」ロック・アルバムだったのだなあということを強く思いました(だからあまり開放感がない)。
あと、R.E.M.の『Monster』映画だった『アンダー・ザ・シルバーレイク』を好きだとか言ってた奴は全員この25周年記念盤も聴くんだよな?