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R.E.M.のギタリストだったピーター・バックがソロ・デビュー。30年に渡って歌うことを頑なに拒み続けてきた(コーラスすらも取らなかった)男が初めて歌うのだから、その歌声には否が応でも注目せざるを得ないわけだが、これはもう笑うしかないでしょ。歌が上手い下手とかいう以前に、このトラクターでチキンレースをしているような歌声は、「歌ってこなかった人」の声だから。トミー・ジェイムズのカヴァー「I'm Alive」もピーターの歌のせいで全く別物にしか聴こえないという。サウンド的にはR.E.M.の延長線上にありつつ、ややガレージ・ロック色の濃いものに仕上がってはいるものの、歌がアレじゃあねえ…。「Some Kind Of Velvet Sunday Morning」*1や「Nothing Means Nothing」なんかはピーターの歌が聴こえない(他のミュージシャンがメイン・ヴォーカルを取っている)というだけで安心して聴けるという有様、っていうか有沢(石野卓球が最初に一人暮らしをしたアパートの近所に住んでいたキチガイのおじさん。通称:ロボコップ)だ。
ソロとしては使いものにならない男が4人(3人)集うと、とんでもなく素晴らしい作品を作ってしまうというのがR.E.M.の良さ、ひいては彼等の「バンド感」だったのだなあと実感させられた次第。盟友マイク・ミルズが一部の曲に参加していたり、スコット・マッコーイやビル・リーフリンといった後期R.E.M.のサポートメンバーが全面的に参加している点はR.E.M.からのつながりを感じさせられるけど、まあそれぐらいだわな。
*1:この楽曲タイトルはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Sunday Morning」に対するオマージュでしょうな。