ビートルズの『Abbey Road』50周年記念エディションの影に完全に隠れてしまっているけど、リプレイスメンツの『Don't Tell A Soul』の30周年を記念して発売された、リプレイスメンツ版『Let It Be... Naked』というべき『Dead Man's Pop』もかなり良いです(そういえば、去年はホワイト・アルバムの50周年記念エディションのせいでローリング・ストーンズの『Beggars Banquet』の50周年記念リマスター盤が影に隠れてしまったが、こちらも凄く良かった)。
『Dead Man's Pop』の最大の目玉は、当時は没になったマット・ウォラスによるオリジナル・ミックスが復活している点で、レコード会社からの要望によりクリス・ロード・アルジがミックスを施した『Don't Tell A Soul』よりもリヴァーブ成分が控えめとなっており、リプレイスメンツのラフなロックンロール・バンドとしての魅力が強く感じられるサウンドとなっている。
『Don't Tell A Soul』は改めて聴き返してみると、ポール・ウェスターバーグの「生きていくことに対する迷い」が率直に綴られたアルバムなので、マット・ウォラスによるミックスは生々しすぎてコマーシャルではないと判断されたのだろう(そもそも「Don't Tell A Soul(誰にも言わないで)」というアルバム・タイトルからして非常に象徴的だ。「夢なんて叶えられないぐらいにボロボロだよ/今はただ理由なき反抗を繰り返しているだけ/俺は何をするべきなのか教えてくれないか?」from「I'll Be You」)。これが次作にしてラスト・アルバムとなった『All Shook Down』では完全に諦観の域に入ってしまう(ただし傑作)。
『Don't Tell A Soul』には映画『ヤング≒アダルト』で重要な使われ方をしていた「Achin' To Be」も収録されてますよ!