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「ニール・ヤング主宰のレーベルに所属するフォーク・デュオ」であったティーガン&サラは、最新作『Love You To Death』で遂にギターレスなエレクトロニック・ポップを全面展開するに至ったわけだが、彼女達と同世代で元々「ギターの人」だったレディホークも、この最新作で同様にギターに頼らないエレポップを全面展開するに至ったというシンクロニシティ。
これまでのアルバム(特に前作『Anxiety』)はどこか引きずるような暗さが作品全体を覆っているのが大きな特徴だったのに対して、本作は徹底的にポップに突き抜けているのがとにかく印象的。本作の完成に至るまでには、「Too Dark」だったデモを没にして、しばらく酒浸りの日々を続けていたらしいのだが、2015年1月に(タイカ・ワイティティの盟友でもある)マデリーン・サミと結婚したことによる私生活面での変化が大きな転機となったのだろう。本作の先行シングルである「A Love Song」や「Wild Things」は、彼女がダークな日々から抜け出る過程において、マデリーンの存在がいかに大きな支えとなったかが分かる非常にパーソナルな名曲だ。そんなパーソナル想いがしっかりと反映されているからこそ、本作は地に足の着いたエヴァーグリーンなポップ・アルバムとして完成されているのだと思う。文句なしにレディホークの最高傑作!