メアリー・ルー・ロードの来日公演@新代田Feverに行ってきた。彼女のパンク・スピリット&DIY精神、そして音楽に対する溢れんばかりの愛情が徹底的に露わになっていて、観ていて何度も涙がこぼれてしまった。MCで「他人に何と言われようと気にしないで。3コードと声さえあれば何だってできるんだから」と繰り返し言っていたのがとにかく印象的。歌もギターも全然上手くないんだけど、それはむしろ彼女の言葉の実証になっているわけで、別に短所にはなっていないと思う(まあ彼女のことを「ポップでキュートな歌姫」みたいな表面的かつ短絡的なイメージでしか捉えられない人には理解できないだろうなあ、とは思う)。慶応大学の学生さん達によるバック・バンドの演奏も、そういう意味でメアリー・ルー・ロードのバック・バンドはかくあるべし!というパンク感でぴったり。ザ・グレート・アマチュアリズム! (たとえばダニエル・ジョンストンやシャッグスにも通じる)音楽の初期衝動の美しさに胸を打たれまくった1時間半でした。一生モノのライヴ。
コードとは最もシンプルな基本要素であり、美しく、完璧で、神秘性にあふれている。そしてそんなコードを、文字もろくに読めず、教育もなく、文化程度も低く、人の気持ちを思いやることもできないブタ野郎がふたつ並べてくっつけると、そこには、すばらしくて力強い何かが生まれる可能性がひろがっていく。(中略)ぼくは基本的に、複雑で知的なものほど音楽としては上等だとする意見には絶対反対の立場をとる。音楽はそんなもんじゃない。ポップ・ミュージックを軽蔑している人がいるのは、たぶん音楽が、そんなもんじゃない数少ないもののひとつだからだろう。
ライヴの開始早々においらのリクエストに応えてリチャード・トンプソンの「1952 Vincent Black Lightning」を演奏してくれたのも嬉しかったー! MCでメアリーさんも言ってたけど、この曲って物凄くブルース・スプリングスティーンっぽいストーリーテリングのナンバーなんすよね。