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キャリア20年にしてようやく3枚目となるオリジナル・アルバム*1。2009年に発表予定だったアルバム『Stick It』がお蔵入りになってしまったこともあって、ずいぶんと間が空いてしまったように感じるが、彼等のレコード・デビューは1993年、1stアルバム『Love & Glitter, Hot Days and Music』は2000年の発表、2ndアルバム『It's My Club And I'll Play What I Want To』(大傑作!)は2007年の発表なのだから、実は意外と安定したペースを保った活動っぷりなのだった。
パンク回帰作だったという『Stick It』への反動からだろうか、本作ではいつものモロ使いな無許諾サンプリングは大幅に減少し、エレポップ度高めなサウンドで徹底してソングライティングに焦点をあてた内容。ラモーンズを愛して愛して愛し続けて、ラモーンズ直系なポップ・ソングを作りを続けてきた彼等のソングライティングは、本作では往年のキャロル・キングやエリー・グリーニッチにも匹敵するブリル・ビルディング的な領域にまで達しているといっても過言ではない。『巨人の星』のファンが高じて大リーグボール養成ギプスを真似して装着し続けていたら、いつの間にか超剛速球が投げられるようになっていた、というような感じとでもいうか。「キラキラした夢たち」というアルバム・タイトルに相応しい、ワクワクがいっぱいの珠玉のメロディが詰まった全11曲36分の傑作だ。
「ガールパワー」のオリジネイターとして『ビートルズの遺伝子ディスク・ガイド』に大フィーチャーされ、今年のインディートラックス(インディー・ポップの祭典)ではパステルズやカメラ・オブスキューラなどと並んで準ヘッドライナー扱いを受けるなど、ポップ・ミュージック史におけるその重要性が改めて浮き彫りになってきた感もあるヘレン・ラヴ。まだ彼等を知らない人は、今からでも遅くないから聴いてみて!
http://www.youtube.com/watch?v=ue2c-MHlv7w
*1:『Radio Hits』シリーズはシングル収録曲をまとめたコンピレーション・アルバムなんで、そこんとこよろしく!