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ウィリー・ムーンは温故知新な改革者である。
デビュー・シングルである「I Wanna Be Your Man」は楽曲タイトルをビートルズから引用して、ボ・ディドリー・ビートを現代的なダンス・サウンドで蘇らせた珠玉の一品だった。そうなれば「Yeah Yeah」という楽曲タイトルは当然ジョージー・フェイムを意識したものだろうし、「My Girl」はテンプテーションズからの引用だろう。「Yeah Yeah」でウータン・クラン「Wu-Tang Clan Ain’t Nuttin' Ta Fuck Wit」のサンプリングを組込んでくる小技も憎い。とはいえ、単なる引用小僧で終わっているわけではなくて、たとえば「My Girl」のようにブリル・ビルディング的なキャッチーなメロディを自分自身で書けるのだから大したものだ。
リトル・ウィリー・ジョンの「I'm Shakin」、(シー&ヒムもカヴァーしていた)スクリーミン・ジェイ・ホーキンスの「I Put A Spell On You」のカヴァーを含む全12曲28分。文句無しの傑作っしょ。どことなく胡散臭い雰囲気まで含めて、これぞポップ・ミュージック!って感じで素晴らしい。個人的には、カルヴィン・ハリスがあんまり歌わなくなってしまったことに対する不満を解消してくれるような面もあるのが嬉しいっす(ルックスも少し似ているし)。
それにしても、キンブラにウィリー・ムーンと最近のニュージ―ランドは破格の才能の宝庫っすな。