★★★★★
映画『プッシーキャッツ』の挿入歌でもあった名曲「I Wish You Well」を含む傑作『Anna By Anna Waronker』から9年。ついにアンナ・ワロンカーの2ndソロ・アルバムが到着。オフ・ブロードウェイ・ミュージカル『LOVELACE, A Rock Musical』(『ディープ・スロート』のポルノ女優、リンダ・ラヴレースの半生をミュージカル化!)に楽曲を提供したり、ほとんどライフワークになっているインペリアル・ティーンのプロデュース業などで話題には事欠かなかったものの、本作のタイトル・トラック自体は6年前に『West Of Eden: The California Collection』で発表済みで、当時からアルバムは完成間近と言われ続けていただけに、ファンにとっては待望も待望な作品。しかも盟友であるマフスの『Kaboodle』が発売された直後というタイミングも相まって感無量ですよ。
前作ではザット・ドッグのラスト・アルバム『Retreat From The Sun』の延長線上にあるパワー・ポップな側面と、凛とした大人のシンガー・ソングライターとしての側面が絶妙なバランスでミックスされていたの対して、本作では後者の路線が強く推し進められ、楽曲からはエイミー・マンにも通じる滋味が感じられるようになってきた(特に「What Do You Do?」はモロにエイミー・マン。「Cannibals & Quicksand」ではポール・マッカートニー「Junk」へのオマージュも)。そりゃあ9年間も待たせただけのことはあるってもんですわ。彼女の夫であるレッド・クロスのスティーヴ・マクドナルド(ヒモ)が前作に引き続き全面的に参加しているのは当然としても、ザット・ドッグの準メンバー的な存在だったターニャ・ヘイデン(ジャック・ブラックの妻)が参加していることもあって、ストリングスのアレンジはザット・ドッグ時代を彷彿とさせる味わいもあり、キャリアが一回りしてさらなる高みに到達した印象だ。傑作。全11曲40分。