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ロビー・ウィリアムズがグループに復帰したことで英国ではとんでもない騒ぎになっているテイク・ザットの6thアルバム。80年代のジェネシスにピーター・ガブリエルが復帰したかのような、ポップ・ミュージック史上類を見ないビッグな復帰劇、タイミングがとにかく絶妙だったと言う他ない。2005年の再結成後のテイク・ザットは90年代を遥かに超える国民的グループへと成長。ロビーの方はといえば、一時期ほどのビッグセールスは記録できなくなっているにしても、いまだに英国を代表する国民的シンガーであることに変わりはないわけで、2010年の今ならば双方の面子を立てることができるのである。これは特にロビー側が復帰に同意する上で大きな決め手になったはずだ。
さて、本作のレコーディングを追ったドキュメンタリー『Look Back, Don't Stare』でゲイリー・バーロウがこんなことを言っていた。「せっかくロビーが復帰したのに『The Circus』と同じことをやっても意味がないだろ? だからロビーのソロの良いところと、『The Circus』の良いところをミックスさせて、さらに良いものを作り上げるんだ」と。それでスチュアート・プライスをプロデューサーに起用っすか! 『Beautiful World』と『The Circus』のプロデューサーがジョン・シャンクスだったことを考えると、これは物凄い攻めの姿勢(ついでに書いておくと、ロビーの前作『Reality Killed The Video Star』のプロデューサーはトレヴァー・ホーンだ)。
アルバム全体としてはやはりロビーのヴォーカルが目立つ作りになっているんだが(「テイク・ザット with ロビー・ウィリアムス」という感じ)、聴き込めば聴き込むほどに、一歩引いてグループ全体を統制しているゲイリー・バーロウの存在の大きさ/聡明さに気付かされることになった。英国では今世紀最高の初動売上げを記録したのも納得の傑作。全11曲47分(シークレット・トラック含む)。それにしてもカイリーにシザー・シスターズにブランドン・フラワーズ、そしてテイク・ザットと、今年スチュアート・プライスがプロデュースしたアルバムにはハズレがないなあ。
↑久々に5人揃ってのTVライヴ。ロビーが15年を経て「Never Forget」のソロ・パートを初めて歌うシーンは感動的。