★★★
おいらがこの夏の暑さでくたばっている間に、リズ・フェアが公式サイトから新作アルバムを発表していただなんて(そしてレコード会社との契約も解除されていただなんて)知らなかったぜ。
公式サイトで試聴可能な「Miss September」や「Satisfied」などはリズ・フェアがどこまでも正統派なシンガー・ソングライターであることを証明する、前作『Somebody's Miracle』の延長線上にある佳曲なんだが、なんちゃってボリウッド・ミュージカル調の「Bollywood」(タイトルからしてそのまんま)や、かつての所属元だったキャピトル・レコーズの社長であるアンディ・スレイターを皮肉った「And He Slayed Her」なんて曲があったりもして、『Girly Sound』(『Exile in Guyville』以前に発表されていたカセット・アルバム・シリーズ。一部の楽曲は『Juvenilia』にて復刻済み)を彷彿とさせる作品、という声が上がっているのも納得のバラエティーに富んだ(悪く言えば散漫な)作品。まあ、たしかにこの内容じゃあメジャーからのリリースは難しいわな。だがしかし、旧来的なレコード会社の慣習に従っていては試行錯誤でリスナーを楽しませるということができないわけで、それはアーティストからしてみれば息苦しくてたまらないだろうなあ、と改めて思わされたことだった(ヒップホップのシーンの風通しがいまだに良いのは、ミックステープでそういったことをすぐに実行に移せるからだと思う)。全11曲40分。