Madness/The Liberty Of Norton Folgate
★★★★
現在のマッドネスがセールス面においてもメディアからの評価においても何度目かの絶頂期を迎えていることは風の噂で知ってはいたものの、それを象徴する昨年発売の本作はなんとなく買い逃したままだった。そんな折に英国アマゾンで500円ちょいで叩き売られているのを発見したので、良い機会とばかりに購入&聴いてみたら再評価もたしかに納得の充実作! マッドネス版『オリバー・ツイスト』とでもいうべきコンセプト・アルバムで、おそらくはマッドネスの楽曲をベースとしたミュージカル『アワ・ハウス』がヒット(2006年には日本版も上演)したことも本作に良い影響を与えているのであろう、ミュージックホール風のシアトリカルな雰囲気が強く出ていてパイ後期〜RCA時代のキンクスにも通じる味わい(そういえばマッドネスはこの前の『The Dangermen Sessions』で「Lola」をカヴァーしていたっけ)。
それにしても彼等の2010年のツアー・タイトルは『Do Not Adjust Your Nut』だぜ。これはもちろん『空飛ぶモンティ・パイソン』の前身といえるコメディ番組『Do Not Adjust Your Set』(マイケル・ペイリン、テリー・ジョーンズ、エリック・アイドルが出演。音楽を担当していたのはボンゾ・ドッグ・バンド!)のもじりなわけで、英国バンドの鏡のような存在だなあと改めて。デラックス盤のDVDに収録されているアルバム再現ライヴも楽しい楽しい(監督はジュリアン・テンプル!)。全15曲60分。