現時点での今年のベスト1である『This Gigantic Robot Kills』についての覚書き。
日本でMC・ラーズに近い存在はらっぷびとってことになるんだろうな。
打ち込み色の強かった『The Graduate』に比べると『This Gigantic Robot Kills』がバンド・サウンド寄りになっているのは、他人の曲を引用する際にサンプリングすると印税に加えて音源の使用料をレコード会社に支払わなければならないのに対して、自分達で演奏すれば印税のみを支払えばすむから、という理由が大きいらしい。フガジの「Waiting Room」のリフを引用した「No Logo」なんかも前作だったらサンプリングですませていたような気がする。時代に合ったインディペンデントなあり方を模索し続けているMC・ラーズ。
ドナスってレッド・クロスのマクドナルド兄弟がプロデュースしていた『Get Skintight』までの初期3枚しかおいらは評価していないんだけど、本作での「Hey There Ophelia」における(ブレット・アンダーソンの)使われ方はすごく良かった。いやあ、本当にプロデュースの仕方次第なんだねえ。
アルバムのラストを飾るアトム&ヒズ・パッケージのカヴァー「(Lord It's Hard To Be Happy When You're Not Using) The Metric System」の原曲↓。「Hipster Girl」でオリジナルぶっていても内実はオリジナリティのカケラもないインディー・シーンの連中をコケにしまくっていたMC・ラーズだけに、じゃあ本当のインディー精神を持っている人はたとえば誰なのか、ということについてきちんと回答しているわけです。
ウェズリー・ウィリスへの思いを綴ったライナーノーツが感動的。しかもケースからCDを取ると…(泣)。そんなウェズリー・ウィリスの代表曲「ロックンロール・マクドナルド」。ダニエル・ジョンストンの「Speeding Motorcycle」に匹敵するインディー・クラシック!
アルバム未収録が惜しまれる名曲「I'm Dreaming of a Green Christmas」。まあクリスマス・ソングだしね。
『Chinese Democracy』が発売されちゃったので紹介する旬を逃しちゃったけど、それでもまだまだ面白い「I Want My Guns N' Roses」。ガンズがアルバムを出せば世界に平和が訪れる!