映画『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(監督:ギレルモ・デル・トロ)観賞。★★★★★。
キャラクターへの愛が強すぎるが故に、はなから「名作」を作ろうとしていないのがいい! あの幸福感溢れる気の抜けたエンディング! そういう意味では『ダークナイト』なんかとは対極の位置にあるといえよう。ギレルモ・デル・トロの前作である『パンズ・ラビリンス』の分かりやすさはある種の「媚び」にしか思えなかったんだが(だったらストイックな『デビルズ・バックボーン』の方が面白いよね、という)、本作では「ハリウッド・メジャー」という枠組みが先にあることによって、彼の作家性/サービス精神が逆にのびのびと発揮されているように思う。
個人的にツボだったのはヘルボーイのビル落下にトラヴィスの「All I Want To Do Is Rock」が被さるところ。皮肉屋で強がっていても内面は繊細、というヘルボーイのキャラクターをトラヴィスのバンド・イメージに重ねることによって一瞬で説明してしまう名シーンだ。こういう細かい描写の積み重ねが世界観に深みを与えているんだよね。物語上では前作で死んだジョン・ハートが、ヘルボーイの子供時代を描くシーンで再び出演しているのも嬉しい。
Travis - All I Want To Do Is Rock
