The Yum Yums/Whatever Rhymes With Baby
★★★★★
「いったいどういう意味なのよ」とぼくの母は『トップ・オブ・ザ・ポップス』を見ていたときたずねた。「『やろうぜ/銅鑼を鳴らそうぜ(get it on, bang a gong)』なんて。こんなの、ちょっと考えただけで思いつく文句でしょ?」――しかしぼくらはいつだって、「二秒で思いつくけど、それでいいんだよ」という正解には達しないまま、親にむかって「うるさい」と言うことしかできない。そして心の中で、やることと銅鑼を鳴らすことしか歌っていないのに人をとりこにしてしまうマーク・ボランをうらむことしかできない。
そんな「ポップ」の本質を的確に捉えたアルバム・タイトルも素敵なヤム・ヤムズの6年振りとなる新作。ディスクユニオンで配られているフリーペーパー『FOLLOW-UP』の最新号に掲載されているインタビューを読んで知ったんだが、ヤム・ヤムズのバンド名の由来ってオハイオ・エクスプレスの「Yummy Yummy Yummy」なのな。
というわけで本作も相変わらず徹底的にポップ!ポップ!ポップ!な仕上がり。前作『Blame It On The Boogie』発表後にVibeke Saugestad(ノルウェー人なので読み方分からん)が正式メンバーとして迎えられただけあって、これまでになく女性コーラス/キーボードがフィーチャーされ、バブルガム・ポップ度はさらに上昇。前作にあったようなグラム・ロック色が後退しているのは少々残念なものの、全曲が2分半〜3分半の間でコンパクトにまとめられているんだから文句を言っちゃいけないよ>自分。
あと、これも『FOLLOW-UP』からの情報なんだけど、ヴォーカル/ソングライターのMorten Henriksenの娘のバンド、ベイビー・ダイナマイトが今度レコード・デビューするそうな…ってもうそんな歳なのかよ!>Morten Henriksen。ヤム・ヤムズのキャリアもすでに10年を超えているから、彼にバンドをやっているような娘がいたって何の不思議もないんだけど、本作にしたって貫禄のカケラもない軽薄な内容だからなあ。いやいや、その貫禄のなさまで含めて、彼等は完璧なまでにバブルガム・ポップを体現しているのである。全12曲34分。必聴。