映画『I Could Never Be Your Woman』(監督:エイミー・ヘッカリング)観賞。★★★★★。
傑作『恋は負けない』から7年のブランクを経て発表されたエイミー・ヘッカリングの新作は、ミシェル・ファイファー主演による大人のラヴ・ロマンス映画…なのに『ベイビー・トーク』さながらに稚気全開(『クルーレス』組のポール・ラッドがチャーミング極まりない)なのが災いしたのか、今の時代に「ミシェル・ファイファー主演」で売るのはそれほど厳しいということなのか、本国アメリカではDVDスルーという扱いだった。ソフィア・コッポラなんかよりもよっぽど評価されるべき女流監督なのに、この冷遇されっぷりは納得がいかんぞ。そりゃあ傑作続きだった彼女の近作に比べると少し劣る出来だとはいえ、「魔術的」としか言いようのない鳥肌シーンが幾つもあるし、本当に本当に幸せな気持ちになれる映画なのだから、どうにか日本では劇場公開してはくれないものだろうか。
それにしても、エイミー・ヘッカリングは相変わらず既成曲の使い方が抜群に上手い。サイケデリック・ファーズ「Heaven」〜クリスタルズ「All Grown Up」で始まり、ビーチ・ボーイズ「Wouldn't It Be Nice」で幕を閉じるってだけでも素晴らしいのに、劇中ではブリンク182とキュアーを大フィーチャー。しかも『I Could Never Be Your Woman』というタイトルは懐かしの一発屋、ホワイト・タウン「Your Woman」の歌詞から採られているんだから、もうこれは完璧という言う他ないでしょう。
また、エイミー・ヘッカリングの創作の原動力が、この世界に対する怒り/違和感であることが分かるラスト・シーンには感動させられた。グディングス・リナが自身のブログで「わたしの中では、怒りがなければ創作なんてできない、というのはつまり、たとえやさしげな音楽を作っていてもそうなのだ、という考えがある」と書いていて、おいらは物凄く共感したんだけど、エイミー・ヘッカリングもまさにそういうインディペンデントな作家なのだなあ。一生ついて行きますよ。
Trailer I Could Never Be Your Woman
http://jp.youtube.com/watch?v=vwGN7HVgE_M
White Town - Your Woman
http://jp.youtube.com/watch?v=ah5_KMT1soE