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黒ずくめの服装に、スタンディング・ドラム。残響音まみれのウォール・オブ・サウンドの中で奏でられるは3コードのメロディアスなポップ・ソング、って完全にジーザス&メリー・チェインの後継者じゃんか! ジザメリは一貫してウェルメイドなポップ・ソング作りを心掛けていたところがマイ・ブラッディ・ ヴァレンタインとの大きな違いなんだけど、そういう意味でもグラスヴェガスは非常にジザメリ的といえる。アラン・マッギーが絶賛しているのも当然だわな。
そんな彼等のジザメリ流儀≒フィル・スペクター愛の極めつけともいえるのが「Dady's Gone」で、「Be My Baby」なビートに「Be My Baby」なコード進行(I→VIm→IV→V。「Dady's Gone」のキーはAなので、実際のコードはA→F#m→D→E)を延々と繰り返しながら、ご丁寧にも「Be My Baby」のメロディ(というかロニー・スペクター節)をパクっているのだった。要するにこれはグラスヴェガス版「Just Like Honey」なのである。もうどこまでも正統派だなあ。
彼等のソングライティングは3コードの基本にきわめて忠実なものばかりで、そんな楽曲を集めた本作が本国イギリスでは大ヒットしているんだから(UKアルバム・チャート初登場2位)、改めて3コードの可能性を思い知らされたことだった。サウンドの幅が狭いのもジザメリ譲りではあるものの、逆にその分だけ「うた」の良さが際立つってなもんだぜ。レヴォネッツの2人は彼等にポップ・ソングの作り方を教わるといいんじゃないかな。全10曲41分。
Glasvegas - Daddy's Gone
GLASVEGAS - Geraldine