★★★★
『Folker』(傑作!)から約4年振りとなる、ネット配信限定で発表されたポール・ウェスターバーグの最新オリジナル・アルバム。
すでに各所で話題となっているように、1トラック&定価49セント(約50円!)というのが凄い。いや、もちろん1トラックとはいっても、要するにプリンスの『Lovesexy』みたいなもので、実際には全23曲が収録されているのでご安心を。それにしても『49:00』ってタイトルなのに尺は44分しかないのね(と思っていたら本当は「June 49」って意味らしい)。
ニック・ホーンビィが『ソングブック』で書いているように、ポール・ウェスターバーグのアルバムはリプレイスメンツ時代から現在に至るまで、どれも「どこかとりとめがない」作品ばかりなんだが、本作では開き直ってそのとりとめのなさを全開にしている。個々の楽曲の完成度よりもポール・ウェスターバーグの意識の流れを優先して作られているというか。サウンドも『Folker』をさらにラフにした、ほとんどデモ・テープ同然のプロダクションだし。そういう意味ではこれほどネット配信が相応しい作品もあるまい。映画『オープン・シーズン』のサントラを手掛けたことで世間的な注目度も上がっているだろうに、その次の1手がこんな内容だなんて、いかにも彼らしいですなあ。
そのディストリビューションのあり方&内容まで含めて、「音楽は日常生活に密着したものであるべき」というポール・ウェスターバーグの信念がうかがえるのが素晴らしいと思う。
The Replacements - Can't Hardly Wait
ポール・ウェスターバーグ/リプレイスメンツといえば、映画『待ちきれなくて…』のタイトルの元ネタ&主題歌になったこの曲を忘れちゃいけないよね。というわけで、ポール・ウェスターバーグは学園映画好き必聴アーティストの1人だと思うんですがどうでしょうか。