映画『テラビシアにかける橋』(監督:ガボア・クスポ)観賞。★★★★★。
(キャサリン・パターソン作『テラビシアにかける橋』より)
ときどきジェシーは、自分の人生がタンポポの綿毛のようにはかないものに思えることがある。どこからか、かすかな風がふいてきただけで、ばらばらにとびちってしまいそうだ。
だから、ジェシーには作る必要があるのだった。魔法の国「テラビシア」へと続く橋を…。
『小さな恋のものがたり』に続く、ジョシュ・ハッチャーソン主演のジュヴナイル映画のマスターピース第2弾。相変わらずジョシュたんはこういう「厳しい現実に直面する子供」を演らせたら抜群に上手い。本作によって彼は00年代のハリウッドを代表する子役になったといえるだろう。
まあ、非の打ちどころのない大傑作だった『小さな恋のものがたり』に比べると、原作つきの映画にありがちな例に漏れず、「名場面集」のようになっているきらいはあるのだが、いくらでもクドくできるところをあえてサクサクと進めて、たったの95分で終わらせているのはこの映画の美点である。「ぜひ子供達に観てもらいたい!」という製作者達の想いが伝わってくるようだ。原作者の息子であるデヴィッド・パターソン(原作は彼の身に実際に起こった事件をもとに書かれた)が脚本を手掛けていることもあって、非常に心のこもった真摯な作品に仕上がっていると思う。
主人公の良き師となるエドマンズ先生を演じたズーイー・デシャネルは原作のイメージそのまんまで、まさにハマリ役。スティーヴ・アールの「Someday」やウォーの「Why Can't We Be Friends?」といった、原作の意図を汲みとったポップ・ナンバーを歌っているのも嬉しい(ちなみに原作でエドマンズ先生が歌っているのはウディ・ガスリーの「This Land Is Your Land」やボブ・ディランの「Blowin' In The Wind」などのフォーク・ソング。こちらのヴァージョンでも観てみたかったな)。というわけで、ズーイーの歌を目当てに本作のサントラをチェックしたら、残念ながら彼女の歌は未収録。その代わりに、ヒロインのレスリーを演じたアンナソフィア・ロブが歌うショボいロック・ナンバーが収録されているのだった、ってそんなところまで子供に媚びなくていいんだよ!
Roeper & Smith review "Bridge to Terabithia"
ケヴィン・スミスも『テラビシアにかける橋』を賞賛。「予告編だと『ロード・オブ・ザ・リング』のバッタもんみたいだけど、実際には全然違う類の映画なんだよ!」とのこと。