映画『エルフ 〜サンタの国からやってきた〜』
(監督:ジョン・ファブロー)
★★★★★
監督のジョン・ファブローは『スウィンガーズ』の主演&脚本で有名。監督作品としてはこれが2作目になる(1作目は2004年7月18日に当サイトでも取り上げた『Made』)。
本作は「アダム・サンドラー以降」というハリウッド映画の現在をきちんと踏まえた傑作コメディであると同時に、『三十四丁目の奇蹟』がなんぼのもんじゃい!という最高のクリスマス映画でもある。クリスマス映画はいつだって「孤独」と「夢を信じる力」についての物語だ。クライマックスでは『スウィンガーズ』のボンクラ兄ちゃんが撮った作品とは思えないほどのエモーショナルな展開を見せ、おいらの目からは涙がとめどなくこぼれ落ちたのであった。
主演のウィル・フェレルはもちろん素晴らしいのだが、本作をより一層輝かせているのは、彼の相手役を務めるズーイー・デシャネルのチャームと歌声だ。本作には非ミュージカル映画に於けるミュージック・シークエンスとしてほとんど完璧な出来のシーンが幾つかあるのだが、それらは彼女の存在のおかげで成立したと言っても過言ではない。彼女は本作でのスウィートネスで映画史にその名を刻む事になるだろう。
特筆すべきは製作陣が「クリスマス映画」というジャンルに対して抱いている深い愛情がひしひしと伝わってくる点で、映画全体に豊かな温かみを加味しているストップモーション・アニメの使用はその最たるもの(御大レイ・ハリーハウゼンも声優として参加!)。ニューヨークが舞台で小人(エルフ)が出てくるという事で、当然のようにピーター・ディンクレイジが出演しているのも嬉しい。
っていうかアメリカでは『ターミネーター3』『マトリックスレボリューションズ』をも超える2003年第7位の興収を記録したにも関わらず、日本ではDVDスルーってのはどういう事なのよ!? 映画は基本的に劇場で観るべきだとは思うんだけど、今回ばっかりは何をおいても速攻でDVD観賞を敢行すべき。クリスマス映画はクリスマスに観てこそ、なんだからさ。ご家族でぜひ。
Elf - Trailer