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先行シングル「2 Hearts」が中途半端なロック路線だったせいで不安にさせられたが、4年振りのオリジナル・アルバムとなる本作は件のナンバーを除いては従来路線のチージーなダンス・ポップで占められているのだった。楽曲の充実度は『Body Language』以上。さすがに『Fever』には及ばないが、『Light Years』と同じくらいのレベルには達している。「Can't Get You Out Of My Head」のソングライターであるキャシー・デニスを再起用し、2007年を代表するサウンド・クリエイターとなったカルヴィン・ハリスをプロデューサーとして抜擢するといった人選も実に巧い(ってつまりはロイシン・マーフィーの『Overpowered』ともシンクロしているということだ)。
そして、このアルバムの流れの中で聴いていると、「2 Hearts」が先行シングルというのも的確なチョイスであるように思えてきた。というのは、従来路線のシングルを出せば「相変わらずだけど、カイリーも老けたなあ」といったネガティヴな感想が溢れるに決まっているわけで、キッシュ・モーヴを起用した新機軸のナンバーで目先を変えておく必要があったのではないだろうか。だから、カイリー的には2ndシングルとなる「Wow」(名曲!)以降が本当の勝負なのだと思う。
だが、はっきり言って以上のようなことは全くどーでもよくて、本作はとにかくパッケージングが素晴らしすぎるのだ。何しろ日本盤の初回生産分は「カイリー・ミノーグの香り」付き! これはどう考えたって「乳癌になったせいで以前ほどは脱げなくなっちゃったけど、その代わりにこの匂いを嗅ぎながらCDを聴いてヌキまくってね!」ということではないか。なんという誠実さ! これに感動しなくて一体何に感動するっていうんだよ! さすがは永遠のセックス・シンボル。おいらは一生ついて行くぜ!
Kylie Minogue - Wow