★★★
ジェットの2ndフル・アルバム。1stよりもソングライティングに重きが置かれ、スロー〜ミディアムのナンバーを中心に構成された、彼等が敬愛するユー・アム・アイでいえば『Hourly Daily』にあたる作品。
とても丁寧に作られていることは認めよう。だが、大先輩のユー・アム・アイが『Convicts』のような瑞々しいロックンロール・アルバムをいまだに作り続けているというのに、それより10歳近く年下のジェットがこんなにも親父臭いロック・アルバムを作っているというのはあまり褒められたもんじゃないわな。
問題点は明白だ。前作の感想(2003年10月16日)で書いたように、今作でも「曲のバリエーションがエッジの効いたロッキンなナンバーとメランコリックなバラードだけで、この両極を繋ぐべき中間のナンバーがほとんど見当たらない」のだ。これはユー・アム・アイと違って、ジェットにはカントリー/フォークに対する素養がほとんどないことが原因だと思われる。
もし今作に箸休め的な役割を果たす軽快なカントリー・ナンバー、先述の『Hourly Daily』でいえば「Please Don't Ask Me To Smile」や「Forget It Sister」にあたるような楽曲があれば、全体の印象はもっと瑞々しいものになったはずだ。バンド名の元になったウイングス「Jet」の収録アルバムである『Band On The Run』だって、「Mrs. Vandebilt」や「Mamunia」のような軽快なナンバーがあったからこそ、あそこまで長く語り継がれる名盤になったんだからさ。全14曲48分。