Nina Gordon/Bleeding Heart Graffiti
★★★
ピンク・スパイダーズの『Teenage Graffiti』に続く今夏の「Graffiti」シリーズ第2弾は、ニーナ・ゴードン(元ヴェルカ・ソルト)の6年振りとなる2ndソロ・アルバム。
前作『Tonight And The Rest Of My Life』は、アヴリル・ラヴィーンなどの登場に先駆けて産業女性シンガー・ソングライター・サウンドの雛形を作り上げた秀作だった。今作ではそれこそブッチ・ウォーカーなんかをプロデューサーに迎えてもおかしくはなかったはずなのに、相変わらずプロデューサーはボブ・ロックで固定という我が道の貫きっぷりには好感を抱いた。
基本的な路線は前作の延長線上だが、先行シングル「Kiss Me 'til It Bleeds」(「血が出るまでキスして」ってエロくていいね)を筆頭にバラード曲が多くなっているのは今年で39歳という実年齢を反映した結果だろうか。まあ、この路線ならばエイミー・マン等の大先達に敵うわけがないわけで、彼女が本当に推し進めるべきは、前作における「Number One Camera」(名曲!)のような、今作でいえば「Suffragette」のような歯切れの良いギター・ロックだったのではないかと思う。
いや、別にバラード主体でもいいんだが、だったらば以前にN.W.Aの「Straight Outta Compton」をアコースティック・バラードとしてカバーしてしまったような鋭いセンスがもっと発揮されてもいいんじゃないかと思ったよ。全14曲47分。
あと、彼女のMySpaceの「影響を受けたミュージシャン」の欄に、マフスやプリテンダーズ等と並んで何故かラブ・サイケデリコの名前があるんだけど、前作のプロモーション来日時に偶然耳にしたとかそういうことなのかな。