The Beautiful South/Golddiggas, Headnodders And Pholk Songs
★★★★
ビューティフル・サウスが昨年発表したカバー・アルバム。とにかく曲のチョイスが素晴らしい。選曲センスだけならばポール・ウェラー*1にもロンロンクルー*2にもオートマチクス*3にも圧勝で、それこそカエターノ・ヴェローゾ*4に匹敵すると言っても過言ではない。
だってELO、ゾンビーズ、(Lの方の)ラッシュ、ルーファス・ウェインライト、ブルー・オイスター・カルト、スタイリスティックス、ラモーンズ、S CLUB 7ときて、極めつけは映画『グリース』の挿入歌「You're The One That I Want」(最近だと『踊るマハラジャ★NYへ行く』*5でお馴染みですな)だよ! 文句の付け所がないではないか。
ただねー、肝心の曲のアレンジがイマイチなんだよ。いや、ELOの「Livin' Thing」やラモーンズの「Blitzkrieg Bop」なんかを軽やかなフォーク調で料理するのは間違っていないと思うんだが、一番の大ネタであるS CLUB 7の「Don't Stop Moving」や「You're The One That I Want」なんかをこんなに暗いアレンジにしてどうするんだよ。最近の彼等の傾向通りに、最後の最後で着地に失敗したって感じ。
まあ、アルバムの締めがスタイリスティックスの「I'm Stone In Love With You」なので、アルバムを聴き終えた直後は何かとんでもなく素晴らしい作品であるかのように勘違いしてしまうのも確かなのだが。おいらもそれに騙された口だ。さすがに一筋縄ではいかない連中ではある。まあ、ポール・ヒートンのソウル趣味が伺えるのは嬉しいし、彼等に対して少しでも興味を抱いている人間ならば聴いておいて損はないでしょう。全12曲43分。