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イアン・ブロウディ*1の1stソロ・アルバム。これまでビッグ・イン・ジャパン、オリジナル・ミラーズ、ケアー、そして言うまでもなくライトニング・シーズと、様々な名義で活動してきた彼だが、ソロ名義での作品は20年以上のキャリアで初となる。
ライトニング・シーズ時代は(ある程度)時代を意識した打ち込みサウンドが特徴だったわけだが、今回はソロという事で心機一転、ほとんど打ち込みを排除したアコースティックなサウンドとなっている。イアンのヘロヘロな声にバンジョーやハーモニカ等がオーガニックなアレンジで絡んでくるだけでこんなに新鮮だとは!
しかしライトニング・シーズが活動停止に追い込まれた事がよほどのショックだったのか、アルバム収録曲のどれもが「ひとりぼっちの歌」ばっかりなのな。いや、素晴らしい。内実の伴わない連帯を呼びかけられるよりは何百倍も誠実だ。冒頭の「Song For No One」からして、「歌は一度作られれば、それは誰のものでもない。作者のものですらない。誰にでも歌えるものが、ただそこに存在しているだけの事だ」と主張しているかのよう。
エコー&ザ・バニーメンなどのプロデューサーとしての活動も有名な彼だが、今作にも彼がプロデュースしてきたコーラルやズートンズなどのメンバーが参加している。全11曲31分という「プリミティヴ&ウェルメイド」な傑作小品集。