「ロック映画のバラード問題」について相変わらず考えているんだが、それまでもエルヴィス・プレスリーの映画などがあったとはいえ、その後への影響として決定打になったのはおそらく『バディ・ホリー・ストーリー』のクライマックスでの「True Love Ways」の歌唱シーンなんではないだろうか。ただ、この曲はバディ・ホリーの最後のレコーディング・セッションで録音されたオリジナル曲なので、こういう展開になるのは必然だし*1、映画自体もその後にバディ・ホリーのヒット曲メドレーに突入するので、それほど湿っぽくはならないんだが。ちなみにこの映画の監督のスティーヴ・ラッシュが後に(『小悪魔はなぜモテる?! 』にも影響を与えた)『キャント・バイ・ミー・ラブ』を撮っているのは、バディ・ホリー~ビートルズというロック史の変遷を踏まえた上での連想からでしょうな。いや、だって『キャント・バイ・ミー・ラブ』ってほとんど無理矢理にビートルズを使っている映画なんだもの。
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ジョナ・ヒルの監督デビュー作『Mid90s』は画面が4:3のスタンダード・サイズ。A24製作の映画ってスタンダード・サイズが多すぎだろ。内容の方は『バッド・チューニング』と『6才のボクが、大人になるまで。』を足して若干ダークにした感じで、意外とマッチョ志向なところも含めて非常にリチャード・リンクレイター的。ポップ・ソングの選曲がヒップホップ中心なところはリンクレイターよりも若い世代の作品であるという印象を強く与えてくれる(ファーサイドの「Passin' Me By」を大フィーチャー! というか、ジョナ・ヒルはガチのヒップホップ・ヘッズなわけだが)。とはいえ、最近のスケーター映画だったら個人的には『Skate Kitchen』の方が好きだな。
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7月6日(土)に開催される「サム・フリークス Vol.5」の上映作品の1本目はトム・マッカーシー(『扉をたたく人』『スポットライト 世紀のスクープ』)の監督デビュー作にしてピーター・ディンクレイジの出世作となった傑作『The Station Agent』に決定いたしました。「サム・フリークス Vol.4」のルーカス・ムーディソンとの繋がりも作れて良かったー(トム・マッカーシーは役者としてルーカス・ムーディソンの『マンモス』に出演している)。
2本目も早めに発表できるように頑張りまーす。
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AYA a.k.a. PANDAの新曲「スパゲッティー」は「甘えちゃってSorry」以来の楽曲だとダントツで良いっすね。切ない。この路線でアルバム出してくれー。
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「サム・フリークス Vol.4」用に『リリア 4-ever』の日本語字幕を仕上げてて気付いたんだけど、シャイリーン・ウッドリー主演の漂流映画『Adrift』って実は本質的には『リリア 4-ever』にも通じる「ひとりで生きる」という物語だったすね。