映画『デヴィッド・クロスビー:リメンバーマイネーム』(監督:A.J.イートン)観賞。★★★★。
今年のグラミー賞の最優秀ミュージック映画賞にもノミネートされた、キャメロン・クロウ製作によるデヴィッド・クロスビーのキャリアを追ったドキュメンタリー。インタビュー現場の様子から察するに、おそらく主軸となっているクロスビー本人へのインタビューはローリング・ストーン誌時代からの付き合いであるキャメロン・クロウが行っていて、その他の情報を監督のA.J.イートンが取りまとめたという感じなのだと思う。バーズ時代から始まってCSN/CSN&Y時代、麻薬中毒、そしてFBIからの逃走劇へと至るデヴィッド・クロスビーの人生。
ビートルズの記者会見に同席している映像など『Echo In The Canyon』と被っている部分もあるものの、『Echo In The Canyon』になかった重要な要素であるジョニ・ミッチェルとの関係について深く語られているのがありがたい。ファンの人ならば周知の事実だったのかもしれないが、『イージー・ライダー』でのデニス・ホッパーの役のモデルがデヴィッド・クロスビーだったなんて初めて知ったぞ。キャメロン・クロウの『ザ・エージェント』に出演していた縁でイーグルスのグレン・フライがインタビューに答えているんだが、彼もすでに2016年に亡くなっているわけで、あんなにボロボロだったデヴィッド・クロスビーはよくぞ生き残ったという感じ。ミュージシャン仲間からどんどん縁を切られているところを見ると、まあ厄介な人ではあるんだろう。しかし、それを包み隠さずに話す姿勢と寂しげな後ろ姿にはどうにも憎めないものがある。オープニングで語られるジョン・コルトレーンとの逸話と、CSNのラスト・ライヴの映像が強烈(爆笑してしまった)。