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「ソングライター/シンガー/ビートメイカー」を自称するジェインの2ndアルバム。前作『Zanaka』は反アパルトヘイトの闘士でもあった南アフリカの歌手、ミリアム・マケバに捧げた「Makeba」という楽曲があったことからも分かるように、アフリカ音楽からの影響を色濃く反映させながら西洋音楽との融和を図った傑作だった。本作はトラップ以降のビート感を基調としつつ、前作の基本路線を継承した上にアジア音楽、ラテン音楽、中東音楽(「Abu Dhabi」なんてタイトルの楽曲もある)なども取り込んで、より濃厚な「文化の坩堝」を作り上げた真にインターナショナルなポップ・ソング集となった。アルバムのタイトル曲の「Souldier」は2016年に起きたフロリダ銃乱射事件に呼応して書かれたもので、彼女の音楽の最大のテーマでもある「融和」がここでもしっかりと表現されている。世界中を自由に、そして軽やかに飛び回る鳥(鳩)に運ばれていくジェインの姿が写されたジャケットは、まさに本作の内容を的確に表しているといえよう。言うまでもなく鳩は平和の象徴なわけで。個人的には『ガジェット警部』のテーマ・ソングをトラップに仕立てたトラックの上でラップして歌う「Inspecta」がお気に入り。全10曲31分という簡潔さも素晴らしい。傑作。