『Don’t Think Twice』の出演陣とセス・ローゲンの座談会で知ったけど、マイク・バービグリアが『Don’t Think Twice』の脚本執筆中に行なっていた読み合わせでは、セス・ローゲンとキアヌ・リーヴスがベン・スティラーの役を(映画ではベン・スティラーに置き換えられるのを承知の上で)演じていたんだな。
『Nobody』の最新号の常川拓也さんによるジャド・アパトー論の中には「自分の知っていることで正直に映画を作ること。それがアパトーの倫理である」「グレッグ・モットーラが、アパトーを『コメディ界のカサヴェテス』と形容している」「(『ブライズメイズ』を機に)女性視点の現代的なコメディを語ることをアパトーは見出したように思う」という記述がある。マイク・バービグリアは『Sleepwalk With Me』でも『Don’t Think Twice』でも自分が活動しているコメディ業界を舞台にし、『Don’t Think Twice』でカサヴェテスの『こわれゆく女』を引用し、ジリアン・ジェイコブスから決定的な名演を引き出している。マイク・バービグリアはジャド・アパトー人脈の人間ではなかったにも関わらず軌を同じくしていたからこそ、それに気付いたアパトーは『Sleepwalk With Me』を絶賛し、『エイミー、エイミー、エイミー!』に彼を起用したのだと思う*1。
マイク・バービグリアがセス・ローゲンとの座談会で言っていることで興味深いのは、劇中で披露される登場人物達の「ネタ」は彼等の人生を反映したもので、単なる「ギャグ」以上の意味を持たせているからこそ、それ自体で笑えなくても問題ないように作られているということ。スタンダップ・コメディの笑いを映画に持ち込む難しさを分かっているが故のクレバーな演出プランだと思う。
*1:『エイミー、エイミー、エイミー!』は『Don’t Think Twice』の直前の作品だけれども、感覚が鋭ければ「こいつは自分と同じことをやろうとしている!」ってことを直感で気付けるわけで。