『パレードへようこそ』を観てからビリー・ブラッグばかり聴いている。ビリー・ブラッグの最新作『Tooth & Nail(死に物狂いで)』のラスト・ナンバーは「Tomorrow's Going To Be A Better Day」という歌。
「Tomorrow's Going To Be A Better Day」
明日はきっと良い日になる
上の奴等がなんと言おうと関係ない
明日はきっと良い日になる
僕達がきっとそうしてみせる
『パレードへようこそ』がピート・シーガーの「Solidarity Forever」で始まり、ビリー・ブラッグの「There Is Power In A Union」で締め括られるという構成になったことについては、監督のマシュー・ウォーチャスの強い拘りがあったようだ。映画会社はそれだと政治性が前面に出すぎるのではないか、と難色を示したんだが(この映画のラストでLGSMの連中が「政治は持ち込むな」と言われたのと同じじゃないか!)、マシュー・ウォーチャスとしては「“皆で仲良くしましょう”みたいな単純化した内容にはしたくなかった」「映画に怒りを込めたかった」「だから(熱意や怒りに満ちた)ビリー・ブラッグの歌声を最後に鳴り響かせたかった」と。ビリー・ブラッグは『パレードへようこそ』の題材となった炭鉱ストライキで労働者達を強く支援したミュージシャンであり(「Which Side Are You On?」)、その音楽の根源にあるのは「他人の悲しみや怒りや苦しみをまるで自分のもののように感じてしまう」彼の人間性なわけで(例:「Sexuality」)、そういう意味でもこれ以上ないほど『パレードへようこそ』に相応しい人選だったと思う。