図書館で週刊文春の1月22日号を読んでたら、小林信彦が『素晴らしき休日』(映画史上最高のはみ出し者映画)を絶賛していたー。「映画を観終わって、溜息をついた。ケイリー・グラントのこんな面白い喜劇を観ていなかったのだ。上映時間九十三分。ぼくはなにをしていたのだろう?(中略)一家の金もうけ至上主義にケイリー・グラントが別れを告げ、ひとりで旅に出るシーンのひっくりかえり方は、むしろ泣かせる。本当のアメリカ映画を観た感動がこみ上げてくる」とのこと。
『ぼくが選んだ洋画・邦画ベスト200』でオールタイム・ベストの1本として『フィラデルフィア物語』を挙げているのを読んで以来、「もしかして小林信彦は『素晴らしき休日』を観ていないんじゃないか?」と疑っていたんだが、やはりその通りだったようだ。『フィラデルフィア物語』ってのは、ジョージ・キューカーにとっての魂の映画である『素晴らしき休日』が興行的に失敗してしまったことを受けて、『素晴らしき休日』の主演コンビ(ケイリー・グラント×キャサリン・ヘプバーン)を再び起用して「それじゃあこうすれば観客のアンタ達は喜ぶんだろ」とばかりに撮った作品だから。『フィラデルフィア物語』も面白い映画だけど、いま観返してみると作品にこめられた熱量は『素晴らしき休日』の方が明らかに上なんすよね。というわけなので『素晴らしき休日』を未見の方がいましたらぜひー。