『ウィ・アー・ザ・ベスト!』、やはり「1982年」という時代設定が絶妙だなあと改めて思ったのは、この時期に(映画内でも大フィーチャーされている)KSMBとエバ・グロンの両バンドが相次いで解散しているんすよね。それはまさに「Punk Is Dead」を象徴するような出来事であったというわけだ。
ちなみにKSMBはルーカス・ムーディソンにとって非常に思い入れの強いバンド。エバ・グロンはスウェーデンで最も成功したパンク・バンドであり、ルーカス・ムーディソンやココ・ムーディソンのような1970年前後に生まれたスウェーデン人にとっては、アバ*1なんかよりも遥かに大きな存在であったとのこと(と、ルーカス本人が言っていました)。
そこを踏まえると、クライマックスでクラーラが放つ「“パンクは死んだ”なんて言われてるけど、あんなのタワ言だからね」という台詞がより切実な意味を持って響いてくる。他者(KSMBやエバ・グロン)に依存するのではなく、自分自身の足で立って世界に立ち向かうということ。それがロックであり、パンクってことなんだと思う。「誰も君のことを理解してくれないんだったら/何でも他人任せにしてないで/君自身で革命を起こさなきゃ/戦えるうちに戦っておくんだ/革命なんてTシャツみたいに身近なもの」(「Waiting For The Great Leap Forwards」)。
*1:ちなみにアバも1982年に解散している。