映画『パイレーツ・ロック』(監督:リチャード・カーティス)観賞。★★。
老人の戯言と受け取ってもらって全く構わないんだけど、観ている間中ずっと「オレのロックと違う!!」と思っていたよ。てっきり「海賊ラジオ局vs英国政府」という反体制/反権力映画なのかと思っていたら、そういった描写は申し訳程度で、後はいつものリチャード・カーティス印の人情コメディなんだもの。そういう作品として観るならばそれなりに楽しめないことはないにしても、だったら時代設定を1966年〜67年にする意味なくね?
クライマックスは(予告にもあるように)『タイタニック』よろしく船が沈没していく中、DJ達が『タイタニック』よろしく自分達の身を危険にさらしてまでも音楽を流し続けるんだが、そもそも船が沈没した原因って単なるマシントラブルじゃん。英国政府の妨害によって船が沈没したんだったら、放送を続けるのは反骨精神の表明として有効だけどさ、そうじゃないんだから「さっさと逃げろよ」って話だ。しかもエンディング・テーマがデヴィッド・ボウイの「Let's Dance」って、当時の曲を流せっつーの。
キンクスやスキーター・デイヴィスの曲が大フィーチャーされていたり、『FAQ About Time Travel』(傑作)のクリス・オダウドが大きな役柄をもらっていたりしている辺りはいかにも2009年の映画って感じだけど、好きな素材が揃っているだけに落胆も大きい、と。ちなみにザ・フーがこうした海賊ラジオ局への支持を表明したアルバムが『The Who Sell Out』(1967年発表)、というわけですな。
『パイレーツ・ロック』予告編
『FAQ About Time Travel』予告編
↑『パイレーツ・ロック』よりもヨーロッパの「The Final Countdown」を大フィーチャーしているこっちの映画の方がよっぽどロックだぜ。アンナ・ファリスもキュートだし。