Juliana Hatfield/How To Walk Away
★★★★★
大傑作。
ジュリアナ・ハットフィールドはギタリストとしてもシンガー・ソングライターとしても、それこそボニー・レイットに匹敵する正統派な実力の持ち主なんだが、ブレイク・ベイビーズ〜ソロ初期に受けた「オルタナ・アイドル」的な扱いを本人が嫌悪するが故に、ポップな作品を作ることに対してはどこか「照れ」があったように思う。だから傑作『Beautiful Creature』はヘヴィ・ロック・アルバム『Juliana's Pony: Total System Failure』と同時に発表しなければならなかったのだし、時として『Made In China』のようにギターばかりをフィーチャーした愚作を発表してしまうわけだ。
だが、フランク・スミスとのコラボレーションによって作られた前作『Sittin’ In A Tree...』でフォーク/カントリーへと傾倒したことにより、ソングライティングの基本へと立ち返ることができたのだろう。今作は何のエクスキューズもないド直球のポップ・ソング集となった。彼女の公式サイトでは今作収録曲のデモ・ヴァージョン+未発表曲を集めたCD『"How To Walk Away" Demos』を購入することができるんだけど、それには『Sittin’ In A Tree...』のデモも収録されているので、その頃からすでに今作の構想はあったのかもしれない。
それにしても、こうやって歌メロの立った楽曲揃いだと、彼女の凛とした歌声の美しさがより一層際立ってくる。「11月を思い出す」とぼんやり歌われる「Remember November」には泣いたよ。『Beautiful Creature』や『In Exile Deo』すらをも超えるジュリアナ・ハットフィールドの最高傑作だ。 必聴。全10曲43分。
ちなみに「This Lonely Love」にはサイケデリック・ファーズのリチャード・バトラーがゲスト参加。そういえば、ジュリアナとはバークレー音楽院時代の学友であるメアリー・ルー・ロードもサイケデリック・ファーズのファンを公言していたし、アメリカ人って本当にサイケデリック・ファーズが好きだよねえ。
Juliana Hatfield - This Lonely Love
言葉は通じない
でも、触れ合うだけで
あなたとは時間と時の壁を越えて通じ合うことができる
11月を思い出す
11月を思い出す
暗闇の底であなたは私の心に触れ
生きる理由を教えてくれた
生きる力を与えてくれた
機械仕掛けのあなたの手
まるで月や星のように
私の影を照らしてくれる
11月を思い出す
11月を思い出す
暗闇の底であなたは私の心に触れ
生きる理由を教えてくれた
生きる力を与えてくれた
孤独な人生からの大脱走
11月を思い出す
11月を思い出す
暗闇の底であなたは私の心に触れ
生きる理由を教えてくれた
生きる力を与えてくれた